東京ボートショーあけ、厳冬の関空を後にして、マイアミに向け日本から脱出した。

エコノミー症候群などという病名が、幅を利かすずっと前から、僕はマイアミへの長旅を、いつも この窮屈な座席と共に過ごしている。 かれこれ10度目にはなるだろうが、いつも心うきうき、ボートパラダイスに期待が膨らむ。 ロスで乗り継ぎマイアミ空港に到着すると、そこはいつもの高温多湿。 タクシーに飛び乗り、ホテルにチェックインする頃には、もう深夜になってしまった。
ウイスキーをがぶ飲みして、さあ早く寝てしまおう。

今年もやっぱりすごいですウー。
遠足前の小学生のように、朝4時から目覚めてしまった僕は、誰よりも早くきてしまった。
ここはマイアミボートショー会場のなかで、一番人気の、試乗ができるフローティング会場。 出展各社ご自慢のニューモデルが目白押しで、アポイントのある顧客を乗せて出港して行く。
ヨーロピアンモデルもあれば、アメリカンコンバーチブルもある。 20フィートのフィッシングボートもあれば、60フィートのツナタワー艇もある。 ありとあらゆるタイプのボートが、デザインと性能を競い合い、個性を思う存分に主張し合っている。
つい数日前、東京で目にしたあのボートショーは、いったい何だったんだろうか? 竜宮城に紛れ込んだ浦島太郎のような僕は、鯛や平目の舞い踊りならぬ、センターコンソーラーや パフォーマンスボートの走る姿にただただウットリと見とれてしまう。
@心惹かれるボートデザインとはこういう物か。
@ユーザー心理をつかむ艤装はこうなのか。
@海と戦うオフショアーボートの設計思想はこうあるべきか。
半世紀かかっても我々日本人が追いつけない現実が、今年はなお一層強烈に眼前に広がってきた。

デフレスパイラルとやらに落ち込もうとしている日本。
大ボートメーカーの撤退が噂されている日本に対して、ここアメリカでは ヨーロッパとの新しい取り組みが広がりつつある。
アメリカンボートの神髄、あのバートラムしかりである。 伝統のフォルムに改良を加え、ヨーロピアンムードあふれるキャビンレイアウトを成し遂げている。 良い物をさらに良くするために。
ひるがえって、僕達はもはや狭い日本に閉じ籠もってはいられない。 アメリカやヨーロッパやアジアに、良きパートナーを求め、新しい協力が有っても良い。 世界に誇る日本のディーゼルエンジン。これを搭載する『憧れのアノ名艇』。 こんなのを『いつでもスーとオーダー出来たらなあ』と思うのは僕だけなのだろうか?
.....マイアミボートショー会場にて.....